このブログでは以前、せんとくんはただのゆるキャラではなく仏像であると説いた。
2015.4.27【コラム1「新説せんとくん」】
せんとくんといえば、2010年の平城遷都1300年祭のイメージキャラクターとして登場。
イベントが終わると、あの騒動は嘘のように忘れ去れたかのようになり、
一時期は、死亡説まで流れた。
しかし、最近は、その活躍がめざましい。
ブラタモリではピンで登場し、
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奈良の他のゆるキャラとは、圧倒的な差を見せつけた。
ちなみに、せんとくんは薮内佐斗司さんが作った立体物の作品である。
なので、おととしに県立美術館で開催された「薮内佐斗司展」では、
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このような着ぐるみが作品として展示されていた。
もちろん中身はない状態である。
中身言うなw
これは脱活乾漆(だっかつかんしつ)という仏像の技法である。

せんとくんは当初から、玄人からの評価は高かった。
それは、保守的な傾向が強い奈良で、前衛的な姿で登場したせんとくんは、
芸術家に衝撃を与えるとともに、故に叩かれる姿は同情と共感を呼んだからである。
しかし、そのようなせんとくんの革命性は、
どうも意図したものではなかったような気がする。
なので、どうもまだ奈良はせんとくんを最大限に活かせていないように思えるのだ。
その最大の要因の1つが、
せんとくんには、どこに行っても会えないことだ。
観光客は、奈良に行けばせんとくんに会えると思ってきている。
しかし、せんとくんにはどこに行っても会えない。
仕方なく観光客は、このような人形を見つけては、
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記念撮影をしている光景をよく目にする。
それでもなかなかの人気者ぶりのせんとくんである。
ということは、本物のせんとくんに会えたら、
もっと感動を感じることが
出来るのではないのだろうか。

比較するのはよくはないが、あの「くまもん」は3体もいて、
常時熊本に滞在する個体や、営業する個体に分かれているのだそうだ。
なので、せんとくんも複数体いればより活動範囲が広がるのではないだろうかと思うのだが・・・。
ここは一気に、十二神将のように12体用意するというのもどうだろうか。
興福寺の阿修羅像が、奈良に来ればいつでも見れるように、
せんとくんも、奈良にくればいつでも会えるのだ。
それが「おもてなし」であり、ゆるキャラという日本の文化の海外発信にもつながる。
せんとくんは秘仏であってはならない。