奈良に来たならぜひ見るべきおすすめ仏像と、
その魅力を発信していく「奈良仏像のすゝめ」。
今回ご紹介するのは、「五劫思惟(ごこうしゆい)阿弥陀仏坐像」

奈良市北御門町にある五劫院。
そこに安置される「五劫思惟阿弥陀仏坐像」は、
あるユニークな姿で知られる。
人々からは、こう呼ばれている、

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アフロヘアー仏像と。

なぜまたこんなユニークなお姿になってしまったのか。
実はこのお方は、五劫という長い年月、思惟(瞑想)していて、
髪が伸びきってしまったというのだ。
仏の頭はもともと螺髪(らほつ)という、パンチパーマのような髪型をしているが、
それがそのまま伸びきったということで、アフロヘアーというのもあながち間違ってはいない。
また、五劫の「劫(こう)」とは、仏教における宇宙論的な時間の単位であるそうで、
一説には、大きな岩に天女が100年に1度舞い降りて、
その度に羽衣が岩を擦り、それを何度も繰り返すうちに岩がなくなってしまう
までの期間を、
「1劫」と呼ぶそうだ。
五劫ということは、それが5回分ということだ。
気が遠くなるような時間だが、それほど長い年月瞑想をしていたら、
このようなアフロヘアーになってしまったというのだ。
では一体、五劫とはどれぐらいの年月なのか。
計算してみた。

wikipediaによると、
五劫とは無限に近い年月の、あくまで比喩であって仏教では定義されてないようであるが、
ヒンドゥー教では、1劫は43億2000万年とされており、
その5倍ということだから、
216億年。

瞑想し過ぎwww

瞑想ではなく、迷走していたのではないかとさえ感じる、
アホほど長い時間だが、もちろんバカにしているわけではない。
それほど長い年月修行をし、人々のことを考えてくれたということは、
とてつもない慈悲を意味し、
究極のありがたいお姿がこのアフロヘアーということなのだ。
ちなみに、このありがたい五劫院の「五劫思惟阿弥陀仏坐像」は、
基本秘仏であり、毎年8月上旬の特別開帳の時期を見計らっていくか、
事前の予約を取らないと見れないそうなので、注意が必要だ。
ぜひとも、216億年の歴史を感じてもらいたい。

■仏像DATA
名前【五劫思惟阿弥陀仏坐像】
場所【五劫院(MAP)】
製造時期【鎌倉時代】
技法・材質【】
像高【1.23m】
国指定【重要文化財】