「無料予備校・塾 チノポス」というサイトがある。
YouTubeを媒体に、無料で予備校講師の授業を受けれるというものであるが、
東日本大震災で被災し塾や予備校へ通えなくなった学生のために、
無料で講義を届けるボランティアで始まったのがきっかけだそうである。
その後、「教育こそが日本の再興」と大きなテーマをかかげ、
震災以外にも、様々な理由で塾や予備校に通いたいが通いたい人のために、
現在も活動を続けているそうだ。
そんな、数ある講義動画の中からご紹介したいのが、
カリスマ日本史講師こと「竹内睦泰(たけうちむつひろ)」氏である。


圧倒的な知識と、超絶な熱弁で日本史を語る竹内睦泰氏。
プロフィールを見ると、神主でもあり、
第73代武内宿禰という称号も持つが(wikipedia
予備校では、常に人気トップで講義がいつも締め切りだったという、
そのわかりやすく、おもしろい解説にある。
時には、涙を流しながら悲運な歴史上の偉人を語ってくれるw
そんな裏話や、思想的なところ、話が脱線するところもおもしろくもあるが、
やはり、基本は入試のための講義なので、
通説、史実をもとに語られていくというところがおススメできるところである。
まずは基本を押さえておこうというわけだ。
講義は、縄文時代から始まる。
「一般的に世界最古の文明と言われるシュメールより、
2倍以上古い時代に縄文時代があった。
なぜ、そんな古い氷河期の時代に人が住めたかというと、
日本が火山国だったからである。
火山の近くには多くの生物も集まり、魚介類もたくさん取れ、
だから生活していくことが出来た。
そういう記憶があるから、日本には火山信仰があるのではないか。
日本人は、火山が爆発しても山を恨まない。神だから。
その火山によって生きてきたから」

と、いきなりのぶっ飛ばし度であるがw
とても興味が湧く話ではないだろうか。
このような調子で、縄文時代から昭和時代まで、
全部で60時間分ぐらいの動画があるのだがw
私は、ここ数か月かけて、ようやく全部見ることが出来たw

■縄文~弥生~古墳時代
縄文時代② 弥生文化 古墳文化
海外史料 小国分裂と邪馬台国① 海外史料 小国分裂と邪馬台国②
倭国統一と倭の五王 大和朝廷と氏姓制度
■飛鳥~奈良時代
推古朝の政治① 推古朝の政治② 大化の改新① 大化の改新②
改新政治と壬申の乱① 改新政治と壬申の乱②
皇親政治 律令体制① 律令体制② 奈良前期政治 奈良後期政治
■平安時代
平安初期の政治 藤原北家台頭 天皇親政と武士の台頭
摂関常置と地方の乱れ 摂関政治全盛と荘園の構造
後三条天皇の政治と院政 平氏政権
■鎌倉幕府~室町幕府
鎌倉幕府の成立 執権政治 元寇と得宗専制政治
建武の新政 室町幕府成立 室町幕府の確立 室町幕府動揺と応仁の乱
■戦国時代~江戸時代
戦国時代 鉄砲伝来 織田信長の天下布武
豊臣秀吉の天下統一 江戸幕府の成立① 江戸幕府の成立②
文治政治の展開 正徳の治と享保の改革 田沼政治と寛政の改革
大御所時代と天保の改革 開国と尊皇攘夷運動
公武合体運動 江戸幕府滅亡
■幕末~明治時代
明治維新 中央集権体制 留守政権と地租改正
大久保政権 士族反乱 松方財政と政党結成
民権運動と激化事件 内閣制度と明治憲法 初期議会と日清戦争
三国干渉と中国分割 日露戦争① 日露戦争②
■大正~昭和時代
桂園時代と大正政変 第一次世界大戦と米騒動
ワシントン体制と関東大震災 恐慌と金解禁 軍部の台頭
ファシズム台頭と日中戦争 戦争への道 太平洋戦争

このように、日本の歴史を1万3000年前から並べて、
痛感するのは、その流れである。
全体で見なければならないと感じる。
そして、竹内睦泰先生の講義はとても興味深く、おもしろいのだが、
実は大きなものが欠けていることにお気づきであろうか。
そう、それは神話である。
現在の日本史は、なぜか考古学から始まり、途中から史学になる。
なので、初代天皇の話などは出ないのに、
突如、飛鳥時代に聖徳太子などが登場するのだ。
やはり、日本の歴史は、神話、考古学、海外の資料と、立体的に見なければならない。
おそらく「古事記」の神話は、縄文時代と弥生時代あたりの出来事が、
神話として伝承していると思うのだが、
それを知っていると、逆に考古学もおもしろくなってくる。
そして、神話に描かれるものは、なにも歴史の出来事の伝承だけではなく、
日本人の宗教観アイデンティティも伝承されているということである。
その前提があるから、きっと奈良時代に大仏があったし、明治維新も起こったし、
昭和の大東亜戦争にもつながっていったと、理解できるのではないだろうか。
竹内睦泰氏は、他の動画ではさらにこのように語る。

「最近は、国際化ということで、海外に出ていく日本人がいるが、
外国の人から、日本とはどういう国?どういう文化?
と聞かれて、答えられないのではバカにされます。
日本人は、まず神話を知らない。これは、もう、アウトです。
どの国の人だって、神話は知っていますよ。
これは国の教育が悪いからであり、
なんでこうなったのかは置いといて、
私は、最低限の神話は知っておいた方が良いと思うんです」

とまぁ、「そんな日本人は、恥さらしだから海外に出ていくな!」とまで、
御立腹であるがw私は正論であると思う。
これは逆に、日本で迎える場合にも重要なことである。
自国の文化も理解できていない人間が、他国の文化も理解できるであろうか。
現在、日本史は必須教科ではないそうなのだが、
最近、選挙権が18歳からになるという話。
高校生に、どうやって日本の未来を考えさせ、責任感を持たせるか、
指導に教師は困惑しているとテレビで見たが、
やはり、そのための基礎が歴史教育ではないのだろうか。
過去のことを知らない人間に、未来を創造することもできないのではないかと思う。
そして、必要なのは、出来る限り正しく、
ニュートラルな歴史感である。
このブログも、実は若い人や、歴史に興味がない人に、
読んでもらいたいと思って書いている。
共に学ぼうではないか。
そして、奈良に来ようw

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