3月13日は、春日大社の例祭「春日祭」が執り行われる。
例祭(れいさい)とは、その神社で最も重要なお祭りのことである。
「若宮おん祭」は重要じゃないの?と思われるかもしれないが、
おん祭は春日大社ではなく、若宮神社のお祭りである。 (コラム32「お・ん・ま・つ・り」)
春日祭はかつて、旧暦の申(さる)の日に行われたことから、「申祭り」とも呼ばれ、
「勅使(ちょくし)」が参ることから、勅祭としても知られる。
勅使とは、天皇の使いのことである。
天皇からの直々の命をうけて、天皇の代わりに出向いてくる勅使は、
位はほぼ天皇と見なす為、扱いは天皇と同じ作法で迎える。
なぜほぼなのかというと、天皇と勅使の差は、我々にはわからないからである。
1000円と10000円の違いなら、その価値の差は理解できるが、
10000000000000円と9000000000000円の差は、ピンとこないようなものであるw
そのような勅使が訪れる例祭が、いかに重要なお祭りであることかお分かりになるであろう。
現在の日本には、この勅使が参る祭りが3つあり、
それが春日大社の春日祭、上賀茂・下鴨神社の葵祭、石清水八幡宮の石清水祭である。
全国に80000はあるとされる神社のうちの、たった3つである。
上賀茂・下鴨神社の葵祭は、もとは欽明天皇が賀茂の神々の祟りを収めるために行ったもので、
石清水八幡宮の八幡とは、応神天皇のことを指す。
ただ、春日大社に限っては、本来天皇ではなく、
奈良時代の政治家「藤原氏」が創建した神社であり、
かつては藤原一族の祭りという意味合いが大きかったそうなのだが、
戦国時代以降には衰退し、明治に明治天皇によって再興がなされた。
よって、藤原氏の祭祀としての要素は弱くなったが、
現在も、その勅使は藤原姓の人間から選ばれるらしく、
今に古式を伝えているというわけなのである。
ちなみに、勅使が春日の神に向かって国家安泰、国民繁栄の祈りをささげる際には、
地面にひれ伏すように祈るのだそうで、
それは、春日の神に対する敬意でもあり、
藤原氏の力がいかに強かったという名残とも言えるかもしれない。
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