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春日大社の第60次式年造替がクライマックスを迎えようとしている。
神様のお住まいになる本殿をはじめ、神社境内のその他もろもろを、
20年に一度、修復したり新調したりするのが式年造替である。
われわれ一般庶民も、新車の車の乗ると気持ち良いものだし、
洗濯した服を着て出掛けると気持ちよく心機一転するように、
神様も気持ちよくなっていただいて、より高い霊力で我々をお守りしていただく。
そのために、神社は常に清潔にあるため式年造替(遷宮)されていくわけなのである。
ちなみに、神社とお寺をよく混合されるが、お寺は仏教の施設であり、
自分も仏になるため修行する場所である。本質的に違う。
とはいえ、日本は神仏習合の国なので、ややこしいといえばややこしい。

春日大社の式年造替は、平成27年3月27日の仮殿遷座祭(下遷宮)を皮切りに始められ、
平成28年11月6日の本殿遷座祭(正遷宮)にて完了する。
「正遷宮(しょうせんぐう)」とは、本殿修復のために、
神様に仮殿住まいしていただいていたのを、
修復が終わったので、本殿に帰っていただく式年造替の最後の重要な儀式である。
先日NHKで、前回(20年前)の式年造替の際の記録映像が放送されていたが、
よみがえる春日大社~式年造替の記録~(gooテレビ番組)
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正遷宮に関わる神職は、3日前から精進潔斎するために共同生活をし、
肉などの食事も制限され、穢(けが)れを避けるため神社から出ることも許されないという。
神様は、なによりも穢れを嫌う。
穢れとは、単純に物理的に汚れているというわけではなく、
内面的にも通常ではない状態のこととされ、
それは、死や出産、血(月経)によってもたらされる。
よって、神道において重要な儀式は、男性にしか行えないのである。
最近、女性天皇や女系天皇などの話も出たりするが、
神道のトップである天皇が、女性では神に祈る儀式が行えなくなるのである。
なので、女性天皇はあくまで次の天皇(=男系)へつなげるための例外であった。
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20年前の若き岡本彰夫さんは、
春日大社に伝わる式年造替に関する古文書を読み、
「どうしてこんな方法でしなければならないのか?」と疑問に思う作法もあったという。
しかし、いざ実践し体験してみると、一番不思議に思えたものが、
一番良い方法(神様に失礼のない)だったと理解できたのだという。
1000年近くの時間をかけて練り上げられた伝統には、
すべてに理由があり、一切の無駄はないということであろう。
深いお言葉である。
kasuga
正遷宮後の春日大社では、11月11日~13日の3日間は、
通常500円かかる回廊の特別参拝が無料開放されるなど、
万燈籠も行われ、数多くの奉納行事で祝される。
詳しくは、こちらのリーフレット(pdf)をご覧になっていただきたい。
http://www.kasugataisha.or.jp/images/pdf/guidebook.pdf