奈良に来たならぜひ見るべきおすすめ仏像と、
その魅力を発信していく「奈良仏像のすゝめ」。
今回ご紹介するのは、東大寺の「賓頭盧尊者像(びんずるそんじゃぞう)」

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東大寺大仏殿の右手にどかんと座っているのが「賓頭盧尊者像」
いわゆる、なで仏といわれる仏さまで、
自分の体の治してほしい場所を触ると治るとされている。
そんな話をすると、なぜか多くの人が頭を触りがたがるがw
東大寺のびんずるさんはかなり巨大で足元しか触れない。
しかし、なぜまたこのお堂の外に座る"びんずるさん"にそんな信仰が生まれたのであろうか。

賓頭盧尊者は、釈迦の弟子「十六羅漢」の一人で、
その中でも、特に神通力(超能力)を持っていたという。
しかし、ある時、古代インドのマダガ国の首都「王舎城」にて、
長者が木鉢を竿の先に吊るして高く掲げて、
「神通あるものはこれを取ってみよ」と行者たちを煽っていた。
名だたる行者らが試みるも失敗に終わっていたが、
それを大石の上で見ていた賓頭盧は、同じ釈迦弟子の目連にそそのかされ、
座っていた大石とともに空中を舞い、木鉢を取って長者のもとへ届けたという。
長者は大喜びであったが、力を人前で見せびらかしてしまったことを釈迦に咎められ、
賓頭盧は悟りを開き涅槃に入ることを許されず、
この世に留まり仏法を説き続けさせられることとなったというのだ。
ある意味では、破門にさせられたダメな弟子とも言えるが、
その後の賓頭盧は、たとえ相手が王でも毅然と仏法を説き帰依させたといい、
むしろ、尊敬される聖者として信仰されていったのだという。
元は、寺院の食堂に祀られていたそうだが、いつしかお堂の外に出るようになり、
そのパワーにあやかりたいと賓頭盧尊者像に触れるとご利益があるという、
民間信仰が広まっていったのだと思われる。
また日本においては、賓頭盧は禁酒の誓いを破ったため釈迦に破門にさせられ、
お堂の外(外陣)に追いやられたという欲説があるようで、
いかにも憎めないキャラ設定で日本人が好きそうである。
しかし、元は釈迦の十六羅漢の一人だった人、その力は本物である。
今日もびんずるさんは、あえて皆に近い場所(外陣)で、
来る日も来る日も訪れる人の健康を願ってくれているというわけである。

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世界(大仏)の隅で愛を叫ぶ!!
∑(゚Д゚)エェ━━━!!w

■仏像DATA
名前【賓頭盧尊者像】
場所【東大寺(MAP)】
製造時期【江戸時代】
技法・材質【木造】
像高【】
指定【】

参考文献サイト:
ミステリーな仏像
賓頭盧尊者が赤い理由@興福寺(大神神社御用達の大正楼)
びんずる尊者(奈良の宿大正楼)