51wF4E0fA3L._SY445_SX342_
大佛勧進ものがたり (読みなおす日本史)

奈良と言えば、大仏ということで、
割と当たり前のような存在に感じてしまうが、
今日も、我々が奈良の大仏、および大仏殿を目にすることができるのは、
先人たちが造り直してきたからであることは忘れてはならない。
大仏と大仏殿は、平安時代戦国時代に焼失していることはよく知られるが、
いかにして再建されたのかを詳しく知る人は少ないであろう。
その再建にスポットを当てたのが本書である。
本書は、東大寺の第213世別当に就任された平岡定海氏が書かれ、
昭和52年(1977年)に発刊されたものを、吉川弘文館から復刊されたもので、
現在でも普通に書店で手に入れることができる。
いわば、東大寺の僧侶が語る公式の大仏再建の入門書ともいえるものであるが、
聖武天皇の詔により大仏が創建される話や、
鎌倉時代の重源による再建は、歌舞伎の「勧進帳」や慶派の仏師の活躍で、
比較的知る人も多いであろうが、特に本書で読みごたえがあるのが、
江戸期の公慶に関することであろう。
大仏を勧進(寄付)で再建をしようと試みるのには、
ある意味、創建からの慣例であるのだが、
公慶の一心の思いによって成し遂げらる江戸期の再建は、
もっとも困難であったと思われる。
大袈裟かもしれないが、日本人の心、日本人がなんたるかであるかを、
大仏再建から見ることができると言っても過言ではない。
最近、楠木正成を大河ドラマに!とキャンペーンが行われているが、
「楠公さん」を大河ドラマに!
大仏再建を大河ドラマでと思うのも私だけであろかw