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高松塚への道

あの高松塚古墳の発掘を担当したことで知られる故・網干善教(あぼしよしのり)氏の著書。
氏は明日香村生まれで子供の頃、石舞台古墳の調査に触れ、
のちに橿原考古学研究所で働くことになり、高松塚古墳の発掘調査をすることになる。
タイトルどおり、高松塚古墳の発見から調査、そして壁画発見までを中心に、
氏の生い立ちや師であった末永雅夫(橿原考古学研究所初代所長)との関係、
晩年のインド祇園精舎での発掘までについて語れらる。
正直、私にとっては高松塚古墳は特に思い入れはない。
と言うと語弊があるが、要はリアルタイムで体験していないので、
そのセンセーショナルさの実感がないのだ。
とはいえ、その後のカビの件、石室解体は、なんとなくニュースでは見て知ってはいた。
しかし、だからこそこうして顛末を当事者によって語られる本書はとても興味深かった。
文化庁の失態には憤りを感じられずにはいられないし、
いろんな意味で世紀の発見であったことが体感できる。
ぜひ一読したい一冊である。