鹿男あをによし (幻冬舎文庫)
著者の万城目学氏が直木賞を受賞し、
(直木賞に河崎秋子さん「ともぐい」と万城目学さん「八月の御所グラウンド」)
改めてこちらの本が注目されることもあろうか。
もはや、説明するまででもないと思うが2007年に発売された本書は、
その後、ドラマ化もされたので知る人も多いであろう。
実は、本書でも直木賞の候補になっていたが、その時は受賞しなかったようだ。
わたしも、改めて読み返してみて、
まさに非の打ちどころがないとはこういうものなのだろうかと驚く。
奈良の小ネタを挟みながら、見事なまでの発想にエンターテイメント性。
おまけに夏目漱石の「坊っちゃん」のオマージュのようになっていて、
文学的なお遊びにもなっている。以前読んだ時は気付かなかったが、
最近「坊っちゃん」を読んだので気付いた。
まぁ作中に思いっきり「坊っちゃんみたいだ」とセリフが出てくるのだが・・。
とにかく、奈良を舞台や題材にした作品の中では、
今のところこれを抜く作品はないのでなかろうか。群を抜いての名作と思う。
ぜひ、今までドラマだけを見て原作を読んでいないとか、
もうだいぶ前の話で忘れかけている人は手に取って読んでみていただきたい一冊だ。